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執筆者の写真リード眞澄

日本国籍再取得についてのご報告

2021年12月に帰化申請が認められ、日本国籍を再取得して再び「日本人になりました」。1990年から2017年までの27年間米国テキサス州に在住、2008年に米国籍を取得し日本国籍を自動喪失、2017年の秋から「日本人の配偶者等」の在留資格で日本に居住、3年後に永住権申請が却下されたあと、2021年4月に帰化申請をしました。その過程についてご報告致します。


米国では最初の12年間、永住ビザ(グリーンカード)で居住し仕事をしておりました。しかし、日本での長期滞在などにより、半年以上(現在は1年までとなっています)米国を離れると永住ビザを失ってしまうことを意識するようになり、米国での拠点を維持するため、米国籍取得を決めました。米国籍申請の手続きを始めたのは2008年の夏で、3ヶ月後には許可がおりて式典に出席し、国籍証明書を受理しました。選挙権も得て、米国に安定した基盤を持ち、いつでも日本に帰国できる状態でしたので、自分にとって適切な決定だったと感じていました。


そして2017年の秋から夫の仕事の関係で日本に長期滞在することになり、3年後の2020年、ビザ更新と同時に永住権を申請しましたが、同年12月に法務省から「永住権の申請却下」という通知を受け取りました。


この永住権却下が帰化申請の動機となり、その後、行政書士の方にご相談しながら帰化申請を進めて行くことになりました。お手伝い頂いたのは廣瀬吉次行政書士(https://www.asoffice-hirose.com/)で、帰化申請について多くを教えて頂きました。


元日本人の帰化に関しては「日本国籍の再取得」、「簡易帰化」と言われており、外国人の帰化の場合は5年以上日本に住んでいることが条件になっていますが、元日本人の場合は3年以上です(国籍法第6条)。また、経済力や生活能力などの条件がなくても許可される、となっています(第8条)。日本人が配偶者である場合は、結婚期間が3年以上、居住期間1年以上が条件です(第7条)。https://www.moj.go.jp/MINJI/kokusekiho.html


廣瀬行政書士に帰化申請の過程で色々なアドバイスを受けました。申請開始に当たり、まず最初に必要書類の確認をするため、法務局に出向いて、事務官から必要書類の説明を受けました。ほぼ全ての書類はコピーを取って2部ずつ提出する必要があり、私の場合は米国に関係ある英語の書類も色々ありましたので、その日本語訳(申請者本人が訳しても構いません)も提出します。申請手続き案内書には、「日本語以外の文字で作成された書類には、翻訳者を明らかにした上で日本語の訳文を添付すること」と書かれています。


帰化申請に必要な書類は申請者により異なりますが、提出を要請される基本的書類は以下の通りです。まず、自身で作成する書類は:

  • 帰化許可申請書

  • 親族の概要を記載した書類(子供、本人および配偶者の両親、本人の兄弟姉妹の情報を記載)

  • 履歴書(学歴・職歴を詳しく記載。以下は注意事項として書かれている文です)

(注)1 「年」については、日本の元号で記載する。

2 履歴事項については、古い年代のものから漏れなく記載する。例えば学歴については、転校、中途退学、卒業の学部等についても記載し、職歴(本国での職歴や日本に入国した後に行ったアルバイト歴も含む。)については、勤務先だけでなく、担当した職種についても記載する。また、身分関係については、父母の死亡及び事実婚についても記載する。

3 用紙が不足するときは、同一用紙を用いて記載する。

4 この書面は、申請者ごとに作成するが、15歳未満のものについては、作成することを要しない。

  • 生計の概要を記載した書類(収入と支出を記載。生活費、銀行預金、資産なども含む)

  • 事業主である場合は、事業の概要を記載した書類

  • その他:「帰化の動機書」は手書きで作成する書類で、題名の通り帰化の動機を書いたところ、廣瀬行政書士から、ここには米国籍を取得した理由を1ページほどにまとめるようにと言われました。なぜ帰化したいかという理由を詳しく書いたものは別途提出してはどうかと提案され、「帰化申請経緯説明書」として帰化の動機を3ページほど書きました。


区役所などから取り寄せた書類、保持している証明書などは、

  • 住民票

  • 戸籍謄本(除籍という記録がありましたが、日本人の親の子であることを証明する書類となります)

  • 国籍証明書類(米国籍取得の際に与えられた英語の証明書で、訳も提出しました)

  • パスポート証明書(パスポートのコピーも勿論出すのですが、米国大使館に行き、公証人に、パスポート情報書という書類にサインしたことを証明してもらう書類です)

  • 「外国人記録調査票」(主に米国在住時の日本への出入国記録です。2008年から帰化申請時点までの記録が全て書かれており、開示請求によりハードコピーで郵送されます)

  • 納税証明書(源泉徴収票など)

  • 収入証明書(勤務の証明、1ヶ月の給与の証明)

  • 公的年金保険料納付証明書(保険料の領収書など)

  • 卒業証書、取得した資格(教職など)の証明書など

  • 銀行口座の明細書(これは申請の1か月ほど前のものを提出しました)


書類提出後、法務局の担当事務官が決まると、電話で追加書類提出を指示されます。私の場合は廣瀬行政書士のお陰で追加書類の請求はほとんどありませんでしたが、1人で対応していたら、色々不足していたのではないかと思います。2021年4月22日、廣瀬さんにご同行頂いて、法務局に百数十枚の書類を提出しました。廣瀬さんが全ての書類をpdfにして、提出書類をいつでも確認できる状態にしてくださいました。


その後担当事務官からは2回ほど電話があり、提出書類の内容(氏名、住所、職業など)に変更があるかどうか確認され、日本を出国し、再入国する際は必ず知らせるよう念を押されていました。つまり、帰化申請中も日本出国は認められている、ということです。2021年には三週間ほどアメリカに娘に会いに行きましたが、コロナ禍でもあり、出入国はその時だけでした。


面接の連絡は書類を提出してからちょうど半年後、10月の半ばごろにありました。その直前に税金関係の追加書類が求められました。面接は10月22日に決まり、夫と一緒に来るよう指示があり、夫とは別々に面接されるとのことでしたが、事務官の日本語がほぼ分からないとのことで、私の訳が必要となり、一緒に面接することになりました。配偶者も面接に呼ぶのは偽装結婚でないことを確認するためと聞きましたが、私の場合、配偶者は外国籍で、私自身の帰化申請なので、確認したいのは逆のケースだと思われます。夫への質問は、彼も帰化申請する意思があるかどうか、その理由、出会いと結婚の経過などについてで、短時間で終了。私の面接は1時間ほどで、主に提出した書類の内容確認でした。帰化したい理由については何も聞かれなかったことが印象に残りました。面接の内容も、申請者によってかなり異なるようです。私と同じように外国籍取得により日本国籍を自動喪失した方が、同時期に帰化申請をなさいましたが、面接で、現地で暴力団と関わっていたか、政治的な活動をしていたか、などという質問をされたとのことでした。個人的な質問というより、リストにある質問を順番に聞いていたのではないか、とおっしゃっていました。


帰化申請許可(不許可)の通知には3ヶ月ほどかかると言われていましたので、年内には連絡がないと思っていましたが、1ヶ月半ほと経った12月半ば、事務官から電話があり、「提出書類に変更はありませんか」という質問から始まって、「帰化が許可されました。許可が降りた日から二週間以内に在留カードを返し、三週間以内に戸籍の作成を」と言われました。官報を見ると、電話があった日の前日に私の名前が載っていました。これらの手続きに必要な書類が郵便局に届いたのが一週間後でしたので、事務官に言われた期限はそれぞれ一週間と二週間になっており、少し焦って区役所と入管に行きました。戸籍の作成に関しては区役所の方がとても親切に対応してくださり、作成して数日後には新しい健康保険証が送られて来ました。帰化により変更された部分は、もちろん外国人から日本人になったという大きな要素があるのですが、表面的には名前の表記のみです。帰化前は正式名称が英語表記だったのですが、帰化後は日本語になりました。在留カード返却のため入管に足を運び、返却しようと提出したところ、穴を開けて返されました。在留カードは4年間にわたり身分証明書として頻繁に使用していたので、記念に保管しています。


以上、帰化申請手続きの経験をご報告させていただきました。ご質問がありましたら、ホームページのお問合せのページから、ご遠慮なくお知らせください。(リード眞澄)


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